大河ドラマ「いだてん」 第11回感想(ネタバレ注意)

今回もさわやかで素敵な回でしたね。
第11回「100年の孤独」。

ガルシア=マルケスの小説からとった
このタイトルが、弥彦の心情と今回のテーマにぴったりで、何とも言えず切ない。

今回のテーマ、私の勝手な解釈では、
「無駄ポジの力」です。

「無駄ポジ」とは、「無駄にポジティブ」ということ。どういうことか、内容を振り返りながらお話しますね。
                                 🐣

昭和パート。ストックホルムオリンピックの映像を引っ張り出してきた後半の主役たち。
「カット!」
すかさず黒澤監督のモノマネが入ったよ…笑
松重さんはそういうポジションなんですか🤣

ほんの一瞬しか映らなかったけど、松重さんはきっと全力で挑んでいるにちがいない。
あの人きっとそーいう人。
しかも横で松坂桃李くん、
素で楽しそうにしてはる…笑

                             🐣
先週からの続き。プラカード表記問題。
「日本でなければおるは出ません!」
という四三に…
アニコ「頑固な肥後もっこす」からの…
ジゴロー先生の、「オレ遅れてきてよかったやろ?」発言😅

ジゴロー先生…
とりあえずポジティブっすね!
やたらめったらポジティブっすね!
そう、これこそ「無駄ポジの力」!

「みんなが互いを認め合っているからこそ
正直な意見を言い合える。これぞ相互理解!
(自分が不在の間に皆その絆を深めたんだね)
遅れてきて正解!」


え、そ、そう…?
みんなきょとーんとしてますやん!
アニコも笑ってもうてるやん!

でも、実際のところ、この論調、
ジゴロー先生の魅力だよなぁ。
一見ペテン師、詐欺師のようだけど、
「そうか、これはいいことなのかも」という気にさせてくれる。

真実がどうかはわからない。
でも、そう考えることによって
前向きな気持ちになれるなら、
それは素敵な力なのではないか。

無駄ポジの力。
これは世知辛い世の中を、
明るく生き抜く技なのだ。

弥彦のナルシストポーズを力みがちで
真似する四三。
いつもの屈託のない笑顔で返す弥彦。

あーもうキミら微笑ましすぎるって…🥰


開会式前、二人のシャツを整えてあげる
ジゴロー先生。
ここ好き。

身だしなみを整えてあげる、って
ごく親しい間柄でおこなわれる
愛情表現だから。
本番前、ナーバスになっている弥彦に
対して大森監督が言葉をかけます。

「短距離走はタイムを競うもの。
敵はタイムのみ。
一緒に走る選手は、同じタイムという敵に
挑む同志と思いたまえ。」

この言葉の後、弥彦目線で、
数人の外国人ライバルたちが
映されるんだけど…

あら不思議。
そう言われただけで、なんだか、
私たち視聴者にまで、
今まで脅威に思えたライバルたちが、
それぞれなんらかの苦しいものを
背負った愛しい仲間に見えてくる…


これも「無駄ポジの力」。
実際やっぱり順位もついちゃうしね。
負けは負けなんだけど…
でも本人がそう信じるならそれでいいのです。実際弥彦は楽になっている。

ただ、
「もっと早くに言ってくれれば…」
視聴者のツッコミを代弁する弥彦。
泣かせても、落とすことは忘れません。



監督が早くそう言ってあげなかった
おかげで、悲壮な文面のハガキが、
三島家に時間差で届いちゃったよ。
ほらも~「大変でございます」って
なっとるがな。

弥彦の弱気な言葉に動揺する三島家の面々。しかし母上だけは…

「弥彦は必ず勝ちます、そう書いてある。
字など読めなくても、
息子の気持ちはわかる。」

これ、秀逸。
字が読めないという設定を利用し、
母の強さを描いている。

字が読める人々はかえってその情報に
惑わされ、錯乱、動揺する。

しかし読めない母は、
ただひたむきにまっすぐに、
遠く離れた息子の心の強さを信じる。

これ、無駄ポジの力。
根拠なんてくそくらえ。
私は信じるんだ。

この母の心の強さは、
大量の情報に惑わされ、頭でっかちに
なってしまった私たち現代人に、
何かを教えてくれている気がします。

さぁ、弥彦、本番の100メートル走❗

遠く離れていても、弥彦の姿は見つけられるの。旦那やから…💕←オイ

「無神論者でも祈らずにはいられない。
神よ、愛しい人に勝利を…」←オイ、セリフ違うぞ
「三島さん、笑ってる!」
旦那の笑顔に喜びます。

あかん、先週くらいから、四三と弥彦を見る目線に妙なフィルターかかっとる😅


走り終えた弥彦も、
「負けはしましたが、記録は12秒を
切りました。成功だと思っています。」
と充足感に満ちた顔。

負けたけど自己新記録を出したから嬉しい。
無駄ポジです。でもそれでいいのです。


さぁ、お次は「プレッシャー」のお話。

孝蔵くんも、プレッシャーを
感じています。

だって下手な咄家にはやたら厳しい
師匠に、「キミには何かある」とか
言われちゃったら…
そりゃお酒も飲むよね、フツーは…

フツーじゃない四三は押花し出した…笑
ふんどし一丁で筋トレする人と、
手桶に花を腰に差した人。
つくづく変な絵やな!

重圧により、いろいろなことを
考え出した四三。
それは「プレッシャー」だと
弥彦が教えてくれます。

四三「正体さえわかればこんなもの、
怖くない!」

もやもやした正体不明の気持ちも、
「名前」をつけられると、
はっきりとその姿が浮かび上がります。

我々人間の世界は、
「ことばの世界」ですから。



弥彦の最後の種目。400メートル。
これまでの、様々な言葉が去来する…

「ぼかぁ一度くらい負けてみたいと
思っている」

日本では無敗を誇っていた弥彦が
少々「天狗になって」言っていた言葉。
世界という大舞台で、文字通りその長い
鼻っ柱をへし折られる。

そのことを噛み締めるかのように挟まれるこのシーン…
そうして、相手選手に抜かされる…
せ、切ない…😭

しかもまた切ないことにこのレース、
他の選手が棄権して、参加者はたったの
2人。上位2位まで準決勝進出だから、
実は必ず先に進める。

負けた弥彦を見て、
ベンガルが他人事のように
「なんだ、またドベか」
という。

心ないこのセリフ、
きっと、試合を見た多くの国民が
無神経にも鈍感にも、
しかし自然に抱く感想だろう。今も、昔も。

無理もないが、
本番まで、山ほどつらい思いを乗り越えてきた選手にとっては非情な言葉だ。

でも、ジゴロー先生は言うんだ。
無駄ポジ精神で言ってくれるんだ。
「ドベでも、準決勝進出だ!」
「準決勝進出は日本人の快挙!」



厳しい現実なんて、
見すぎなくていいんです。

前向きに、ひたむきに、
信じればいいのです。

根拠なんて、くそくらえ。
理屈なんて、くそくらえ。

自分がそう信じれば、
それでいいのです。

無駄にポジティブでいいんです。

無駄ポジの力とは、
信じる力、そのものです。

私たちは変に賢くなっちゃって、
それを忘れている気がします。
妙に現実をとらえすぎて、
冷めています。

それではつまらない。
後々、バカを見る羽目になっても、
私は信じて、希望を持ち続けたいと
思っています。

そりゃ、もちろん、
現実も見なきゃだめ。

弥彦は「日本人に短距離は100年かかっても無理です。」と、次のレースへの棄権を申し出る。

これが厳しい現実です。

でも、聞くんだ。
無駄ポジでいたい人間は、
やっぱり聞くんだ。

四三「三島さん、楽しかったですか?」


そして私たちは、弥彦の「ああ!」と
いう言葉と笑顔に、安心するんだ。


「後悔はないか?」と確認した上で、
笑顔で、「では棄権しよう!」という
ジゴロー先生。

「100年の孤独」を、
弥彦は抱えて走り、
仲間たちは、それをあたたかく
包みこむ。


孤独は人間の一生につきまとうもの。
それはどうしようもない。


でも、無駄ポジの精神で、
明るく能天気に、それをふり払う
という方法もあるのです。

それくらい、ちょっとアホでも
いい気がします。

男アホ二人がヒャッハーしてます。


そのくらいでいいよ。

四三「立派な走りでした。自分も三島さんと同じように、笑ってゴールします。それだけは決めています。」

無駄ポジの、素敵なことばです。

前向きに、ひたむきに信じることの
素晴らしさを、明るく軽快に教えてくれる、
それが「いだてん」の魅力です。

ありがとな…。

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